位牌とは

繰り出し位牌(回出位牌)とは何か?用意するタイミングや使用方法を紹介

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繰り出し位牌(回出位牌)とは、複数の故人を1つの位牌でまとめて祀るための仏具です。
この位牌を使用することで、限られたスペースで効率良く供養ができるのが大きなメリットです。

ご家族のお位牌が増えてきた方や、供養の場が限られている方にとって、繰り出し位牌は最適な選択と言えます。
この記事では、繰り出し位牌を用意するタイミングや、具体的な使用方法について詳しく解説しています。
ぜひ最後までお読みください。

繰り出し位牌(回出位牌)とは何か?

長年お仏壇を使用している家庭では、お位牌が増えすぎて置くところがなくなってしまうことがあります。
そういった場合に「繰り出し位牌(回出位牌)」を活用することで、スペースの確保が可能です。

ここでは、繰り出し位牌の特徴や本位牌や過去帳との違いを紹介します。

繰り出し位牌の特徴

繰り出し位牌とは、戒名や法名が記載された8枚〜20枚の札板を、位牌の内部にまとめて収められるタイプの位牌です。

一般的に使用される「本位牌」は、1つのお位牌に対して1名のご先祖をお祀りできますが、繰り出し位牌は、複数名のご先祖をまとめてお祀りできるようになっています。

つまり、繰り出し位牌を活用すれば、複数の位牌をまとめられるので、置くスペースを確保できます。

本位牌との違い

先ほど紹介したように、本位牌は1つに対して1名のご先祖をお祀りでき、繰り出し位牌は複数名のご先祖をまとめてお祀りできます。

扱い方に関しては、繰り出し位牌も本位牌も基本的には同じように扱えます。
日々の供養も、同様に実施して問題ありません。

過去帳との違い

過去帳とは、故人の戒名や俗名、没年月日などが書かれたノート型の位牌です。
繰り出し位牌は、8名〜20名分の札板をまとめて入れられますが、過去帳はより多くの人数をまとめられるようになっています。

つまり、繰り出し位牌を活用しても収まりきれなくなった場合に過去帳が使用されます。

また、2つの大きな違いとして、繰り出し位牌は「魂入れ(開眼供養)」を行いますが、過去帳は基本的に行いません。

そもそもお位牌は、故人の魂が宿る場所とされているので、「魂入れ(開眼供養)」が必要です。
しかし、過去帳はどちらかといえば、ご先祖の記録や家系図としての意味合いが強いので、「魂入れ(開眼供養)」は必要とされていません。

そのため、拝む対象というより記録として使用されることが多いです。

浄土真宗は繰り出し位牌を使用しない

仏教は豊富な宗派が存在しますが、その中でも「浄土真宗」は位牌を使用しません。

理由は、浄土真宗は「故人は亡くなった瞬間から極楽浄土へ行く」という教えになっているからです。
よって、本位牌はもちろん繰り出し位牌も使用しません。

浄土真宗は、位牌の代わりに先ほど紹介した「過去帳」や「法名軸」と呼ばれる掛け軸が使用されます。

そのほかの仏教(天台宗、真言宗、浄土宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗など)は、本位牌を含めた、繰り出し位牌も使用します。
自分がどの宗派かわからない場合は、親族に確認するか仏壇を見るなどすれば、宗派名が書かれているので確認しましょう。

繰り出し位牌の用意のタイミングと使用方法

繰り出し位牌は、複数名のご先祖をまとめてお祀りできますが、用意するタイミングはいつなのでしょうか。
また、使用方法にはどういったことがあるのでしょうか。

ここでは、繰り出し位牌を用意するタイミングと使用方法について紹介します。

繰り出し位牌の用意のタイミング

繰り出し位牌を用意するタイミングは、以下の2つです。

● 三十三回忌や五十回忌
● 仏壇が本位牌で手狭になったとき

それぞれ詳しく解説します。

三十三回忌や五十回忌

繰り出し位牌を用意するタイミングは、三十三回忌や五十回忌などの「弔い上げ」をするときが多いです。
弔い上げとは、最終の年忌(命日)と言われており、これ以後年忌供養はしないという弔いじまいのことを言います。

年忌法要をしない代わりに繰り出し位牌を用意し、手を合わせることで引き続き故人を偲べます。

仏壇が本位牌で手狭になったとき

ご先祖の位牌が増えてきて仏壇に置けなくなったときも、繰り出し位牌が用いられます。

しかし、どちらかといえば弔い上げをするときが多いので、先に弔い上げがいつなのかを確認しましょう。

繰り出し位牌の使用方法

ここからは、繰り出し位牌の使用方法を紹介します。

置き場所や古い位牌の扱い方など、注意すべきポイントもありますので、一緒に確認しましょう。

「開眼供養」と「閉眼供養」が必要

繰り出し位牌を使用するときは、「開眼供養(魂入れ)」が必要と先述しましたが、これは繰り出し位牌へ魂を入れることを言います。

そして、「閉眼供養」は、元々のお位牌から魂を抜くことを言います。

繰り出し位牌を使用するときは、「開眼供養」と「閉眼供養」の両方が必要で、先に閉眼供養でご先祖の魂を抜き、その後開眼供養にて魂を繰り出し位牌に入れることが必要です。

この2つの法要をすることで、繰り出し位牌が使用できるようになります。

古い位牌はお焚き上げするか引き取ってもらう

閉眼供養を行った後の古い位牌は、お焚き上げをするか、仏壇仏具店に引き取りを依頼します。

必要なくなったからといって処分するのはやめておきましょう。

繰り出し位牌はご本尊よりも1つ低い位置に置く

繰り出し位牌をお仏壇に置くときは、ご本尊よりも1つ低い位置に置くことがルールです。
基本的にご本尊(仏や菩薩)は、最も大切な信仰の対象とされていますので、同じ位置やそれよりも高いところに置くと失礼にあたります。

また、仏壇では右が上座、左が下座となっているため、位牌が複数ある場合は、先に亡くなられた方を右に置くようにしましょう。

2段目に置ききれない場合は、3段目も使用してお祀りします。

札板は1枚目に『黒塗り札』を置き、中札は命日順で揃える

繰り出し位牌に入れる札板の順番にも注意が必要です。

札板の順番は、1枚目に「黒塗り札」、2枚目から「中札」を入れていきます。
中札の入れる順番は、亡くなったご先祖順です。

また、中札への文字入れは以下のように記載します。

【表面】
・梵字
・戒名および法名
・没年月日

【裏面】
・俗名(生前のお名前)
・享年(ご逝去時の数え年)

表面に入れる梵字は、入れない場合もありますので、菩提寺に確認しましょう。

繰り出し位牌を使用する際の費用と内訳

 

ここからは、繰り出し位牌を使用する際の費用と内訳を紹介します。

繰り出し位牌を使用するためには、以下の3つの手順を踏む必要があります。

● 繰り出し位牌の購入
● 札板の文字入れ
● 開眼供養(魂入れ)

また、それぞれ費用が必要です。

繰り出し位牌の3つの種類と費用相場

繰り出し位牌には、主に以下の3つのデザインがあります。

● 漆塗りの繰り出し位牌
● 唐木の繰り出し位牌
● モダンデザインの繰り出し位牌

それぞれの特徴と費用相場を紹介していきます。

漆塗りの繰り出し位牌

漆塗りの繰り出し位牌は、繰り出し位牌の中で最もよく使用されています。

お位牌の正面には観音開きの扉があり、開くと最前列の札板が見える作りです。
漆と金で装飾された、美しく重厚な昔ながらの位牌です。

費用相場は、サイズや装飾度合いにもよりますが、1万5,000円〜5万円程度です。

唐木の繰り出し位牌

唐木の繰り出し位牌は、高級な唐木材を使用した位牌です。

シンプルなデザインが特徴で、唐木仏壇やモダン仏壇にも調和する落ち着いた雰囲気を持つ位牌です。

漆塗りの繰り出し位牌とは異なり、扉がないため省スペース設計になっています。
札板は、上部の取り外し可能なフタから出し入れできます。

費用相場は、3万円〜7万円程度です。

モダンデザインの繰り出し位牌

モダンデザインの繰り出し位牌は、家具調仏壇に合うように色合いや形が現代風に施されている位牌です。
サイズもコンパクトになっており、スペースの小さい仏壇でも使用可能です。

費用相場は、3万円〜7万円程度です。

札板の文字入れ方法と費用

繰り出し位牌は、位牌本体にかかる費用とは別に、札板への文字入れにも費用がかかります。
文字入れ方法と費用について詳しく見ていきましょう。

文字入れ(名入れ)は菩提寺の住職、もしくは仏壇仏具店に依頼

文字入れ(名入れ)は菩提寺の住職、もしくは仏壇仏具店に依頼するのが一般的です。
また、自分で文字を入れたい場合は、自分で書くことも可能です。

ただし、文字入れは金色で書くため、菩提寺もしくは仏壇仏具店に依頼する方が良いでしょう。

文字入れを依頼する際は、以下の2点に注意が必要です。

● 現在お祀りしている位牌も同時に持参する
● 法要のスケジュールに合わせて余裕を持って依頼する

文字入れを依頼する際は、戒名や法名を書いてもらう必要があります。
その際、現在お祀りしている位牌も同時に持参すると、文字入れがスムーズに進みます。

また、文字入れは依頼する場所によって1〜2週間かかる場合がありますので、スケジュールに合わせて余裕を持って依頼するようにしましょう。

繰り出し位牌に書かれる内容

繰り出し位牌に書かれる内容は以下の通りです。

● 先頭の札板の表面…「◯◯家先祖代々之霊位」と記載
● 先頭の札板の裏面…記載なし
● 中札…故人様の戒名(法名)、没年月日、俗名(生前の名前)、亡くなられた年齢を記載

文字入れのレイアウトは、宗派やお寺によって異なります。
レイアウトが気になる方は、依頼するところへ確認すると教えてくれます。

文字入れ(名入れ)の費用相場

文字入れ(名入れ)の費用相場は、依頼する場所によって異なります。

菩提寺(お寺)に依頼する場合は、お礼としてお布施をお包みします。
費用相場は、文字入れの人数によって異なりますが、3,000円〜1万円程度です。

仏壇仏具店に依頼する場合は、1名様あたり3,000円〜1万円程度が費用相場です。

繰り出し位牌の開眼供養(魂入れ)と閉眼供養(魂抜き)の方法と費用

最後に開眼供養と閉眼供養の方法と費用を確認していきましょう。

魂入れ(開眼供養)と魂抜き(閉眼供養)が必要

先述しましたが、繰り出し位牌を使用するときは、魂入れ(開眼供養)と魂抜き(閉眼供養)が必要です。

そもそも位牌は、亡くなられた故人の魂が宿るとされているものです。
そのため、お寺のご住職にお経を読経してもらうことで、「普通の仏具」から「お祀りする対象」へと変わります。

繰り出し位牌を使用する前に必ず行いましょう。

読経のお布施相場

魂入れ(開眼供養)と魂抜き(閉眼供養)する際の読経は、お布施をお包みします。
費用相場は、1万円~10万円程度です。

繰り出し位牌へまとめる人数によって変わってきますので、そこを考慮してお包みしましょう。

古いお位牌の処分方法について

魂抜き(閉眼供養)が終わった後の古い位牌は、そのままお寺でお焚き上げしてもらうか、仏壇仏具店へお渡ししましょう。

ただし、仏壇仏具店にお渡しする場合は、料金がかかる可能性がありますので、確認しておくと安心です。

繰り出し位牌を購入する際の選び方のポイント

繰り出し位牌を購入する際は、いくつかのポイントに注意する必要があります。

気持ち良くご先祖をお祀りするためにも、確認しておきましょう。

デザインと価格をチェックする

先述したように繰り出し位牌はいくつかのデザインがあります。

たとえば、屋根や扉の有無や色合い、装飾などが挙げられます。
デザインによって価格も変わってきますので、予算に合わせて購入しましょう。

設置箇所のサイズを確認する

繰り出し位牌は通常の位牌より奥行きがあるものも多いです。
そのため、仏壇に置く際は、設置箇所のサイズも確認しましょう。

また次の2点にも注意が必要です。

ご本尊よりも高くならないものを選ぶ

仏壇の中でご本尊は、最も大切な信仰の対象とされています。

失礼にあたりますので、ご本尊よりもサイズの大きいものや、高いものは選ばないようにしましょう。

ほかの位牌よりは高くする

繰り返し位牌を仏壇に置くときは、最も古い先祖を上座に置くのがルールです。

そのため、どの位牌よりも高い位置に置き、位牌が増える際には新しい位牌は小さいサイズにするようにしましょう。

まとめ

本記事では、繰り出し位牌(回出位牌)の基本的な意味から、適切な用意のタイミング、使用方法について詳しく解説しました。

繰り出し位牌は、仏壇に位牌が多くなったときに、1つにまとめることができるものです。
一般的には、三十三回忌や五十回忌などの「弔い上げ」をするときに用意します。

使用する際は、「開眼供養」と「閉眼供養」の両方が必要です。
また、置く場所にも注意が必要ですので、失礼にあたらないように設置しましょう。

正しい使用方法を理解し、ご先祖に対する思いを込めたお位牌を準備しましょう。

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